2022年ノーベル賞

2022年10月06日



みなさん、こんにちは。

連日ノーベル賞の話題で賑やかですね!

この時期は毎年心が弾みます♪


アルフレッド・ノーベルの遺言で「人類の幸福に貢献した人」に対して贈られるノーベル賞。今年の「自然科学3分野」のノーベル賞も大きな夢と希望を与えてくれるものでした。


『生理学医学賞』

受賞者 スバンテ・ペーボ博士(マックス・プランク研究所・ドイツ)

国籍 スウェーデン

受賞研究 「絶滅したヒト族の遺伝子解析方法の確立」と「進化に関する研究」


このニュースを見て直ぐにイギリス留学中に「マックス・プランク研究所」に行った時のことを思い出しました。もともと競争相手でありながら、私の「人生最大の発見」のヒントをくれた大物研究者に会いに行った時のことですから、生涯忘れることはありません。

ペーボ博士は、沖縄科学技術大学院大の客員教授でもあることを知りました。今回は、日本人研究者の受賞はありませんでしたが、そんな中で嬉しいサプライズでした。


さて、ペーボ博士の研究です。4万年も前の「ネアンデルタール人」の骨に残っていた遺伝子を調べて、その一部が私たち人類「ホモ・サピエンス」に受けつがれていることを発見しています。

2020年には世界的に権威ある科学雑誌「ネイチャー」で、ネアンデルタール人から受け継いだ遺伝子が新型コロナの重症化リスクに関わっていることを報告しています。新型コロナのアウトブレイクで世界が混沌とする当時、沖縄科学技術大学院大学の成果でもあります。こういった研究者の無数の研究があって、次第に新型コロナの正体が分かり、創薬、医療との連携が円滑に進みました。私自身も著しい科学の発展に感動し、「週刊粧業新聞2020年7月27日」と「化学」2022年9月号」で、新型コロナは世界的リスクである一方で、基礎研究と応用研究、そして、社会が「共創」していることと、これから先のモデルになることをコメントさせていただきました。


それにしても、ペーボ博士の「進化」に関する過去の成果が、「感染症」や「人のカラダの仕組み」の研究に結びついたことに驚きとともに、研究者、いえ、「人としての在り方」が参考になります。「自分なり、自分だけの視線」は、本当に重要です。

「進化学の分野ではノーベル賞はとれない」という評判でしたので、ペーボ博士のコメント「手の込んだいたずらだと思った」には共感しました。昨年ノーベル物理学賞を受賞した真鍋先生の「二酸化炭素と地球温暖化の関係」も、「気象の分野ではノーベル賞は難しい」と言われる中でしたね。信じることを大切にすることの重要性を確認させられます。


    ペーボ博士の言葉: 「研究を突き動かすのは好奇心」


非認知能力の一つ「好奇心」は、豊かな人生を送る為の必須能力ですね!



【親子2代にわたってノーベル賞受賞は7人目】

親子2代にわたってノーベル賞を受賞したのは「キュリー夫人」として有名なマリー・キュリー親子にはじまり、今回のペーボ博士で7組目となりました。


1.ピエール&マリーキュリーとイレーヌ・キュリー(1903年、1911年、1935年)

2.J・J・トムソンとジョージ・パジェット・トムソン(1906年、1937年)

3.ウィリアム・ブラッグとローレンス・ブラッグ(1915年)

4.ニールス・ボーアとオーゲ・N・ボーア(1922年、1975年)

5.ハンス・フォン・オイラー・チェルピンとウルフ・フォン・オイラー(1929年、1970年)

6.アーサー・コーンバーグとロジャー ・D・コーンバーグ(1959年、2006年)

7.スネ・ベリストロームとスバンテ・ペーボ(1982年、2022年)


その中で、キュリー家の偉業(家族で3回、計5個のノーベル賞を受賞)はマリーキュリー研究所で研究生活を送ったので馴染み深いです。また、アーサー・コーンバーグ氏は、私が学生時代に初めて議論を交わしたノーベル賞受賞者です。きちんと相手をしてくれたことに感動しました。


物理学賞と化学賞も簡単に書き出します。


『物理学賞』

受賞者(国籍)

 アラン・アスペ(フランス)

 ジョン・クラウザー(アメリカ)

 アントン・ツァイリンガー(オーストリア)

受賞研究 「量子もつれ」と「量子情報科学」の先駆的研究


 分子や原子よりもずっとずっと小さな物質「量子(光の粒)」の不思議に迫った研究です。アインシュタインら数々の超天才たちも取り組んでいた課題を実験で証明しました。「量子テレポーテーション」という現象、夢の「量子コンピューター」といった全く新しい発想の開発分野の研究につながっています。


『化学賞』

受賞者(国籍)

 キャロライン・ベルトッツイ(アメリカ)

 モーテン・P・メンダル(デンマーク)

 バリー・シャープレス(アメリカ)

受賞研究 「クリックケミストリー」と「生体直交化学」


様々な役割をする分子(機能性分子)を自在に創り出す研究が評価されました。がんの治療薬をはじめ、農業への応用、プラスチック製造などに利用できます。ベルトッツイ博士の研究(生体直交反応)は、細胞の表面にある糖鎖を分解して、がん細胞と戦える状態にすることに結びついたそうです。以前、私自身も糖鎖の研究をしたことがあるのですが、糖鎖はとても複雑で操作が難しかったです。その後、こんなにも科学が発展したことに感動しました。

ちなみに、シャープレス氏がノーベル化学賞を受賞するのは2度目です(2001年、野依良治氏とともに、製薬化学合成の研究で化学賞)。ノーベル賞を2度受賞した5人目の研究者になりました。


【ノーベル賞を2度受賞した人は5人目】 

  ・マリ・キュリー (1903年物理学賞1911年化学賞)

   一族4人で3回、計5個のノーベル賞を受賞しています

  ・ライナス・ポーリング(1954年化学賞、1962年平和賞)

  ・ジョン・バーディーン(1956年、1972年いずれも物理学賞)

  ・フレデリック・サンダー(1958年、1980年いずれも化学賞)

  ・バリー・シャープレス(2001年、2022年いずれもノーベル化学賞)


偉大すぎる人物たちから、少しでも何かを取り入れたいものです。

まずは、今日も自分なりにコツコツ頑張りましょう。


Have a good day!


追記 表紙は、「世界を変えた 50の科学」という私の大切な書籍の表紙です