『あさイチ』 アトピーとセイタカアワダチソウ

2024年03月07日

こんばんは!

本日のNHK「あさイチ」、アトピー性皮膚炎の新薬の話題だった!

と、生徒のお母さんから教えていただきました。

(新薬の詳細は、一番下の『もっと知りたい!』をご覧ください)


【アトピー性皮膚炎について】

皮膚のバリア機能の低下および免疫異常で、皮膚に炎症が起こり痒みを伴う湿疹を繰り返す皮ふの病気です。

痒くてかきむしるので、さらにバリア機能が低下して悪循環に陥りやすいのが特徴です。

近年では、皮膚のバリア機能と食物アレルギーの関係も明らかになってきました。

(実は以前アトピー性皮膚炎の研究と商品開発を行ってました!)


さて、こちらも別のお母さんからの情報、本当にありがたいです!

『セイタカアワダチソウ』がアトピー性皮膚炎に効果があるとの噂があるそうです。


【セイタカアワダチソウについて】

繁殖力が非常に強く、虫が花粉を運んで受粉する虫触花です。ブタクサと似ており勘違いされるようですが、花粉症の主な原因にはならないようです。

アレロパシー作用(化学物質を根から放出)があり、周囲の植物の成長を抑制することが日本の科学者(教授の沼田眞教授@千葉大学)によって発見されています。

雑草として嫌な感じがしますが、

ヨーロッパでは、炎症を抑えたり、鎮痛作用、利尿作用を高めたりする目的で「植物療法」として使われてきたという報告があります。

まだまだ分からないことも多いようですので、詳細な研究が必要です。


この投稿で使用しているのは冬の枯れたセイタカアワダチソウ!

アルコールランプでグツグツ煮だすと、サポニン(界面活性剤)の作用で泡が立ちました!

そして、薬草の香りがほんのり、気分も晴々です♪

時期の違いで差があるのか、実験実験♪🔬(p_-)

最後に、「薬草風呂」では10月ごろの開花前、蕾状態のものを使う人が多いようです。30cmほど刈り取り、カラカラに乾燥させてお風呂などに入れて使用されています。体質に合わない方もいらっしゃると思いますので参考程度に!


『もっと知りたい!』

従来、アトピー性皮膚炎への対処方法は次の3つが主流でした。

①薬物療法: ステロイドを中心とした治療

②スキンケア: 皮膚を清潔に保ち、保湿状態を保つ

③原因の除去:炎症の原因となる物質・因子を取り除く

改善が認められない場合には、ステロイド薬の内服や免疫抑制薬(シクロスポリン)の内服が行われることもあります。

ただ、これらは腎臓への悪影響などが懸念され長期間使用することはできません。


最近、生命科学の著しい発展でアトピー性皮膚炎の解明が進み、それに伴って創薬の開発も進みました。

本日、NHK「あさイチ」で紹介されたものもその流れを受けたものです。

自分で注射できる薬の登場で、通院を気にすることなく、仕事や旅行などができるようになりました。


やや難しいですが、作用機構についてお話します。

アトピー性皮膚炎の進行には、「サイトカイン」という分子が関連しています。

最近、IL-4とIL-13というTh2細胞(ヘルパーT細胞の一つ)が作り出すサイトカインがそれらの受容体に結合することが主要メカニズムの一つだと分かってきました。

つまり、IL-4やIL-13の働きを邪魔することができれば、アトピー性皮膚炎を抑えることができると予想できます。

その方法には2つあります。

1つ目はIL-4やIL-13に直接くっついて邪魔する方法、2つ目は、これらの受容体(結合する相手)にくっついて邪魔する方法です。

1つ目の方法のように、IL-13に直接結合する薬(抗体)が『アドトラーザ」です。

2つ目の方法のように、IL-4とIL-13の受容体に結合する薬(抗体)が『デュピクセント』です。

これまで、ステロイド外用薬で効果が不十分な場合がありましたが、新薬の開発で患者さんのQOL向上が期待できるようになってきています。