あじさいの秘密

2024年06月14日

ピンク、青、紫など、色とりどりの梅雨の風物詩「あじさい」。

公園や園庭などで広く親しまれ、咲き始めから花の色が変わることから、「七変化」と呼ばれることも。


あじさい は、もともとは日本固有の植物で古くから親しまれていました。

日本最古の和歌集『万葉集』に大伴 家持(おおとも の やかもち)が詠んだ短歌が残っています。

時代を超えて、山崎まさよしさん、スピッツさんはじめ、たくさんの方が「あじさい」の歌を歌いましたね。 

あじさい が日本から世界中に広がったのは江戸時代。

中国を経由し、ヨーロッパに伝わったあじさい は、フランスやイギリスなどで品種改良がなされ、「西洋あじさい」として逆輸入されました。

この「西洋あじさい」が、一般的によく見る手まり状のあじさい です。


では、日本にもともと自生していたのはどんなあじさい でしょうか?

動画の最後に出てくるあじさい、「がくあじさい」です。

質素な感じですが、何か懐かしいような、心が惹かれるような、歴史の重みを感じるような。

「がくあじさい」は、周囲に花びら(っぽいもの)がついています。

花びらっぽいもの?!


この「花びらっぽいもの」が本日の主役!

実は、あじさい の「花びら」だと思われている部分は、

もともと「ガク」なんです。

ガクは通常花びらの下についてる、緑色のギザギザの部分です。

「西洋あじさい」も同じ、みーんなガク。

花ビラは隠れています。


そういえば、あじさい の咲き始めは薄緑~黄緑色をしています。

緑色の葉緑体(光合成をする細胞の中の器官)が少しずつ分解されていく過程で見られる色なんですね。

分解される葉緑体に代わって作られるのが「アントシアニン」。

この天然色素こそが色とりどり綺麗なあじさい の立役者です。


あじさい と言えば、土壌の性質による色の変化が有名です。

あじさい の花びら(いえ、ガク)に含まれる「アントシアニン」と、土壌から吸収される「アルミニウム」との化学反応によって、あじさい の色が決まります。

同じ株のあじさい でも部分によって色が違うのは、根から送られてくるアルミニウムの量に差があるためです。

一般に、酸性でアルミニウム含有量の多い土壌では青みが強くなり、アルカリ性でアルミニウム含有量の少ない土壌ではより赤みが強くなると言われています。

ただし、土壌の水分量や栄養分も色に影響を与えます(品種によって、これらに影響されにくいものがありますし、紫外線の量や気温に関係して色が変化するもの、さらに補助色素の影響を受ける種もあります)。


そんなあじさい を漢字で書くと『紫陽花』ですが、一説には『真の藍色の花が集まって咲く』という意味から、『集(あず)真(さ)藍(あい)』がなまったという説もあるようです。


奈良時代には「味狭藍」、「安治佐為」と書かれ、

平安時代には「阿豆佐為」という表記もあります。

色だけでなく、名前も「七変化」してきたのですね。


最後に、あじさいの学名(属名)はHydrangea(ハイドランジア)。

ギリシア語で"水の器"、『多量の水を吸収する植物』という意味から来ているそうです。

それだけに、水分を失うとすぐにしおれてしまいます。

こまめな水やりで花びら、いえ、ガクを長持ちさせましょう♪


暑くなってきました。

私たちも熱中症予防に水分補給を忘れてはいけませんね。

チューリップの投稿『チューリップの秘密』もお見逃しなく!

チューリップとあじさい の共通点は?!


おまけ 【あじさいの花言葉】

青い紫陽花: 「辛抱強い愛」、「平和」、「希望」

赤い紫陽花: 「熱烈な恋」、「情熱」、「勇気」

白い紫陽花: 「寛容」、「ひたむきな愛情」、「清楚」

ピンクの紫陽花: 「元気な女性」、「強い愛情」、「幸せな結婚」

紫の紫陽花: 「高貴」、「優雅」、「理解」

緑の紫陽花: 「生命力」、「再生」、「豊かさ」

花言葉も色彩豊か、どれも魅力的ですね。


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