アウトプットを意識した研究

【 アウトプットを意識した研究】
第2章では、「応用研究へのステップアップ」についてお話ししています。
前項2.1では、ジレンマを乗り越えるためのリーダーシップについて触れましたが、今回はいよいよ実践編に入ります。
早速ですが、善玉酵素などの機能を解析することは、商品の販売促進に直結し、企業の将来を左右する重要なポイントとなります。
したがって、目的の商品開発を行うにあたっては、スクリーニング(=目的とする善玉菌を選び出すこと)を慎重に行う必要があります。
特に経費が限られる中小企業では、無駄を極力省く工夫が求められます。
どのような手法をとるにせよ、意識次第でコスト削減は可能ですし、必要に応じて外部の研究機関へ外注するのも有効です。
大学や研究所との共同研究も選択肢ですが、商品化や販促計画については、あらかじめ自社でしっかり検討しておくことが欠かせません。
初期段階では、スクリーニングの方法も含めて、ある程度ざっくりとした仮説を立てて進めていくのがよいでしょう。
利便性やコスト、将来的な応用範囲の広がりも見据えながら、善玉菌の研究には、酸化ストレスや炎症に関わる一般的な試験マーカーを使うと、スムーズに進めやすくなります。
私たちが長年取り組んでいる善玉菌の中にも、抗炎症作用や抗酸化作用を示すものが数多くあります。
善玉菌の種類が違っても、糖脂質・カロテノイド・フラボノイド・ω−3脂肪酸・ポリフェノール・多糖類など、共通する成分を含むため、似たような作用が現れるのは自然なことです。
また、生体内で起こる炎症反応と酸化反応は密接に関連しており、一方が進行するともう一方も促進される傾向があります。
つまり、抗酸化作用を持つ成分は、抗炎症作用もあわせ持つことが多く、研究成果が一気に広がる可能性があるのです。
こうした基本的な知見を押さえた上で、「ミトコンドリア」「長寿遺伝子」「オートファジー」など、独自性のある切り口での効果検証を行うことで、より効率的に研究を展開できます。
このように、開発する商品の特性や、狙うマーケットの性質に応じて柔軟に研究テーマを組み立てることで、ビジネスの展開も大きく加速していくでしょう。
研究は一歩ずつ着実に。
中小企業における研究開発では、リスクを最小限に抑えつつ挑戦していくことが、夢と可能性に満ちた企業活動につながっていきます。
そしてそれは、より良い社会、より良い未来の"種"にもなるのです。
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本日はここまでです。
夏休みの時期となり、ありがたいことに「自由研究」のご依頼を多くいただいております。
ちびっこ研究者たちのひらめきをカタチにする毎日は、工夫の連続ですが、その中にたくさんの感動と学びがあります。
暑さ厳しい折、どうぞお身体に気をつけて、良い夏をお過ごしください。
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